無伴奏チェロが紡ぐ壮大な宇宙
これは、必聴のステージだ。陰影豊かな表現と温かな音色で聴衆を魅了するチェコの名チェリストで、精鋭集団プラジャーク・クヮルテットのメンバーとしても知られるミハル・カニュカ。日経ミューズサロンに登場し、古今の無伴奏チェロ作品を訪ね歩く旅へと聴衆を誘う。演奏で心がけていることについて「私は、緻密なアーティキュレーションを施すのが好き。リズムのみならず、正確な“音創り”を心がけることは、バッハ演奏の上で必須です」と語る名匠。今回のステージでは、そのバッハの組曲第5番の全曲を核に据えて、まずは“バッハ以前”のドメニコ・ガブリエッリの作品を。そして、生誕150年のシベリウス「主題と変奏」をはじめ、コダーイ、マルティヌー、フェルト、ヒンデミット、レーガーの作品から聴きどころを集めた“以後”まで、多彩な無伴奏チェロ作品を披露する。たった1本のチェロによって、ステージ上に創り上げられる壮大な宇宙。音の持つ力を、実感できることだろう。
文:寺西 肇
(ぶらあぼ + Danza inside 2015年6月号から)
7/7(火)18:30 日経ホール
問:日経ミューズサロン事務局03-3943-7066
http://www.nikkei-hall.com