【CD】プロコフィエフ:ヴァイオリン・ソナタ集/大島莉紗

 パリ・オペラ座に所属しソロ・室内楽でも活躍する大島莉紗が、2017年に続きプロコフィエフのヴァイオリン・ソナタ集の続編をリリース。大きな視点から楽曲を捕まえるその解釈は、真摯かつ丁寧に進めながら、ここぞというところで大胆にえぐっていくソナタ第2番で遺憾なく発揮されている。また2台ヴァイオリン(op.56)や無伴奏(op.115)のソナタの制作に至る本人のエッセイも興味深い。作品のとらえ方、共演者である師ツェートマイアーとの意見の相違、その対処法など、珍しい曲ならではの困難が様々にあったようだが、どんなアイディアでどう乗り越えたのかが実際の録音から臨場感豊かに伝わってくる。
文:江藤光紀

【information】
CD『プロコフィエフ:ヴァイオリン・ソナタ集/大島莉紗』

プロコフィエフ:2つのヴァイオリンのためのソナタ op.56、ヴァイオリン・ソナタ第2番 op.94a、無伴奏ヴァイオリン・ソナタ op.115(ソロ版/2つのヴァイオリン版・T.ツェートマイアー編)

大島莉紗 トーマス・ツェートマイアー(以上ヴァイオリン)
シュテファン・シュトロイッスニク(ピアノ)

QUARTZ/東京エムプラス
XQTZ 2164 ¥3300(税込)