最上の音響で感じるレジェンド荘村清志の至芸

©良知賀津也

 高崎芸術劇場芸術監督の大友直人が贈る「T-Mastersシリーズ」の第9回目となるコンサートに日本を代表するギタリスト・荘村清志が出演する。このシリーズは前回が徳永二男だったが、すでに多くのファンが知る日本の音楽界を牽引してきた「マスター」たちを迎えてリサイタルを開く豪華な企画である。

 荘村は巨匠イエペスに認められてスペインへ渡り、まずヨーロッパ各地で演奏活動を始めた。そして日本に帰国後は演奏活動だけでなく、作曲家・武満徹と協力して、彼の様々なギター曲の初演も行うなど、音楽界全体に大きな影響を与えてきた。近年ではHakuju Hall(東京)でのギター・フェスタの中心的存在として活躍しながら、アコーディオン奏者cobaとのコラボレーションをはじめとした多彩な活動や意欲的な録音も行っている。

 今回、荘村が取り上げるのはバロック時代から20世紀までの幅広い時代の興味深い作品群だ。スカルラッティに始まり、ソル、J.S.バッハ、ヴィラ=ロボス、ラヴェルなど。20世紀のスペインで活躍した作曲家&ピアニストであるピポーの「歌と舞曲」などはかなり珍しい作品となる。いつでも音楽に真剣に向き合い、その真価を伝えようとする荘村の姿勢は多くのギタリストの目標でもある。2024年にデビュー55周年、そして喜寿を迎えた荘村の若々しい演奏を聴くことができる貴重な機会を逃さず、ギターのレジェンドの姿に触れてほしい。
文:片桐卓也
(ぶらあぼ2025年1月号より)

高崎芸術劇場 大友直人 Presents T-Mastersシリーズ vol.9
荘村清志 ギター・リサイタル
2025.2/16(日)14:00 高崎芸術劇場 音楽ホール
問:高崎芸術劇場チケットセンター027-321-3900
https://www.takasaki-foundation.or.jp/theatre/