今春、金沢に鳴り響く「歓喜の歌」
いよいよマルク・ミンコフスキとオーケストラ・アンサンブル金沢(OEK)によるベートーヴェンの交響曲全曲シリーズが完結する。3月15日、石川県立音楽堂での定期公演で「第九」、そして3月18日の東京定期で「田園」と「運命」が演奏される。
マルク・ミンコフスキは2018年から22年にかけてOEKの芸術監督を務めた。本来であれば、2020年のベートーヴェン生誕250年を記念して交響曲全曲シリーズがスタートするはずだったが、そこにやってきたのがコロナ禍による渡航制限。ようやく21年7月にミンコフスキの来日が可能になり、これまでに4公演が開かれてきた。その掉尾を飾るのが今回の「第九」だ。ユリア・マリア・ダンのソプラノ、中島郁子のメゾソプラノ、小堀勇介のテノール、妻屋秀和のバス、そして東京混声合唱団により、待望の「歓喜の歌」が金沢で鳴り響く。
交響曲第6番「田園」および第5番「運命」は2021年に金沢で演奏され、大評判を呼んだ。今回、この2曲が東京定期でふたたび取りあげられることになったのは、首都圏の聴衆にとって朗報だろう。
古楽器アンサンブルのレ・ミュジシャン・デュ・ルーヴルを創設して国際的な名声を獲得したミンコフスキにとって、ベートーヴェン交響曲全曲演奏会は「長年の夢だった」という。一方、OEKにとってベートーヴェンの交響曲は歴代音楽監督と数々の名演を重ねてきた最重要レパートリー。両者のぶつかり合いが、ひりひりするような熱い音楽を生み出してくれるにちがいない。
文:飯尾洋一
(ぶらあぼ2024年3月号より)
第479回 定期公演フィルハーモニー・シリーズ
2024.3/15(金)19:00 石川県立音楽堂 コンサートホール
第40回 東京定期公演
2024.3/18(月)18:30 サントリーホール
問:石川県立音楽堂チケットボックス076-232-8632
https://www.oek.jp
※公演により出演者、プログラムが異なります。