首席指揮者ピノックの集大成、KCO初の演奏会形式オペラもラインナップ!
国内外の第一線で活躍する気鋭の演奏家たちで構成される紀尾井ホール室内管弦楽団(KCO)。2022年4月に第3代首席指揮者に就任したトレヴァー・ピノックのもと、以前にも増して充実した活動を展開している。2024年度定期演奏会(全4回)は、期待大の豪華ソリストが登場。ひねりが効いた選曲など、各回とも話題性十分だ。
第138回(4/19, 4/20)は、ピアニストのピョートル・アンデルシェフスキが弾き振りで2曲のピアノ協奏曲を披露する。モーツァルト「第23番」の清澄な美しさ、ベートーヴェン「第1番」の溌剌とした表情など、彼の繊細なピアノが紡ぎ出してくれるだろう。グノー「小交響曲」とルトスワフスキ「弦楽のための序曲」は、指揮者なしでの演奏。それぞれ管楽合奏と弦楽合奏で、KCOの緻密なアンサンブルにも注目したい。
第139回(6/21, 6/22)は、ピノックの指揮で初期ロマン派の瑞々しい作品が並ぶ。ラトヴィア出身でこれが日本デビューとなるクリスティーネ・バラナスを独奏に迎えるドヴォルザーク「ヴァイオリン協奏曲」は要チェック。一方、ピノックが日本で初めて披露するシューマンの交響曲第1番「春」では、「春や自然の豊潤なイメージ」を表現したいと意気込む。
第140回(9/20, 9/21)は、パリ・オペラ座などで活躍するピエール・デュムソーが登場。東京で初めてシンフォニー・コンサートを指揮する。ルーセルのバレエ音楽「蜘蛛の饗宴」では繊細さが香り立ち、ビゼー「アルルの女」組曲では鮮やかな色彩が輝くだろう。チェロのニコラ・アルトシュテットが独奏を務めるプロコフィエフ「交響的協奏曲」も絶妙な選曲だ。美音と名技を備えた、発想力豊かな彼の演奏も聴き逃せない。
第141回(2025.3/14, 3/16)は、ピノックが就任3年目の集大成として、モーツァルトのアンサンブル・オペラの傑作《コジ・ファン・トゥッテ》を取り上げる。KCOも演奏会形式によるオペラは初挑戦。声楽といえば、23年9月のメンデルスゾーン・プログラムでピノックがみせた歌手を引き立たせるドラマティックな表現は素晴らしく、今回も欧州で活躍する歌い手が集結する。豊かな声量をもち、技巧的な高音を見事に響かせるソプラノのマンディ・フリードリヒ、バイエルン州立歌劇場の新星コンスタンティン・クリメル、メンデルスゾーン・プロに続いて出演のラゥリーナ・ベンジューナイテとマウロ・ペーターに、湯川亜也子と平野和が加わる。最高の布陣による特別な公演となるだろう。
個性的で魅力的な4プログラム。どれかひとつではなく、ぜひとも連続で足を運んでいただきたい。
文:柴辻純子
(ぶらあぼ2024年1月号より)
【第138回】 2024.4/19(金)19:00、4/20(土)14:00 2024.1/12(金)発売
【第139回】 6/21(金)19:00、6/22(土)14:00
【第140回】 9/20(金)19:00、9/21(土)14:00
【第141回】 2025.3/14(金)18:00、3/16(日)14:00
紀尾井ホール
問:紀尾井ホールウェブチケット webticket@kioi-hall.or.jp
https://kioihall.jp
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