2023年11月の海外公演情報

Wiener Staatsoper Photo by Dimitry Anikin on Unsplash

『ぶらあぼ』誌面でご好評いただいている海外公演情報を「ぶらあぼONLINE」でもご紹介します。海外にはなかなか出かけられない日々が続きますが、“妄想トラベル”を楽しみましょう!
[以下、ぶらあぼ2023年8月号海外公演情報ページ掲載の情報です]

曽雌裕一 編

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 今さらながらだが、2023年はラフマニノフの生誕150年、リゲティの生誕100年のメモリアルイヤーに当たっている。もちろんそれが理由であろう、今年は明らかにラフマニノフとリゲティを特集した演奏会が多い。特にラフマニノフで興味深いのは、彼の作曲した4曲のピアノ協奏曲の中で、これまで実際の公演曲目として見かけることが極端に少なかった第4番(ピアノもオケも超難曲)が毎月のようにどこかで演奏されているということだ。11月もバーデン=バーデン祝祭劇場のネゼ=セガン指揮フィラデルフィア管の演奏会でピアノのトリフォノフ、ノセダ指揮チューリヒ・トーンハレ管の演奏会でピエモンテージが演奏する。なお、トリフォノフは8月16日にルツェルン音楽祭でもこの曲を演奏するはずだったが、これは残念ながらキャンセルとなった。

 一方のリゲティも毎月凝ったプログラムが登場しており、ついに11月には、ウィーン国立歌劇場とフランクフルト歌劇場でオペラ「グラン・マカーブル」が競合する事態となった。前者はエラス=カサドの指揮、後者はグッガイスの指揮で、どのような演出になるかも含めて、どちらも注目公演といえよう。

 例年11月というのは、ヨーロッパのオーケストラが、アジア方面を含めた大規模海外ツアーを行う定例月ともいえる。今年もベルリン・フィル、ウィーン・フィルを含めた多くのメジャー・オケが来日するが、その留守の期間、特に歌劇場では古楽系のプログラムを特集するなど、ユニークなミニ音楽祭企画を繰り広げる劇場もある。ベルリン州立歌劇場がその典型例で、11月は「バロックターゲ」と称する古楽系フェスティバルを毎年展開している。今年のその内容がまた凄い。オペラとして、ルセ指揮ベルリン古楽アカデミーの演奏でケルビーニの「メデア」、ミンコフスキ指揮レ・ミュジシャン・デュ・ルーヴルの演奏、宮城聰の演出でモーツァルトの「ミトリダーテ」、ラトル指揮フライブルク・バロック管の演奏でシャルパンティエの「メデ」が並ぶ。これに加えてサヴァール指揮ラ・カペラ・レイアル・デ・カタルーニャとル・コンセール・デ・ナシオンによるシャルパンティエの「聖母マリアのためのカンティクム」といった極めて魅力的な演奏会も予定されている。

 なお、もう1人の古楽指揮の雄、トーマス・ヘンゲルブロックは、バーデン=バーデン祝祭劇場(秋の音楽祭)でマスネの「ウェルテル」を手兵バルタザール・ノイマン・アンサンブルと共に上演している。古楽系指揮者陣の揃い踏みはなかなか壮観だ。その他のオペラ公演では、チューリヒ歌劇場のワーグナー「神々の黄昏」(ノセダ指揮)、シャンゼリゼ劇場でのモーツァルト「魔笛」(ロト指揮)、オランダ国立オペラのワーグナー「ローエングリン」(ヴィオッティ指揮)、シュトゥットガルト歌劇場のR.シュトラウス「影のない女」、ベルリン・コーミッシェ・オーパー(会場はシラー劇場)のE.カッツ=チェルニンの「ニルスの不思議な旅」(八嶋恵利奈指揮)の各プレミエ公演が要注目。前月からの継続公演や過去の公演の再演では、ハンブルク州立歌劇場のR.シュトラウス「サロメ」(グリゴリアン主演)、バイエルン州立歌劇場のベルク「ヴォツェック」(ユロフスキー指揮)、パリ・バスティーユ・オペラのマスネ「サンドリヨン」(クレマン演出)、モネ劇場のワーグナー「ラインの黄金」(カステルッチ演出)などいずれも要注目公演。

 オーケストラでは、ソヒエフ指揮シュターツカペレ・ドレスデンのショスタコーヴィチ交響曲第4番、ティーレマン指揮シュターツカペレ・ベルリンとヤノフスキ指揮ケルンWDR響のブルックナー交響曲第5番対決、マルヴィッツ指揮ベルリン・コンツェルトハウス管、ケント・ナガノ指揮バイエルン州立管、ブロムシュテット指揮バンベルク響とノット指揮スイス・ロマンド管でのピアノのピリス出演など、どれも興味をそそられる公演ばかり。
(曽雌裕一・そしひろかず)
(コメントできなかった注目公演も多いので本文の◎印をご参照下さい)