【CD】Prokofiev Story/滝千春

 滝千春は何と感性豊かなヴァイオリン弾きだろう。プロコフィエフのシニカルで変化に富んだ楽想の魅力を、新鮮な音で伝えてくれる。ソナタ第1番の第2楽章は、爆発的に狂暴なリズムをたたき込む。対比としての歌の第2主題は、特に再現部で美しく優しい。緩徐楽章の旋律にも不思議な屈折がある。終楽章も多様な要素に満ちていて、奇怪なものや不細工なものをそのまま突きつける。沼沢淑音のピアノとも息がぴったり。第2番のほうはシンプルに美しい。ヴァイオリンならではの表現にも長けている。「ピーターと狼」は、小鳥やアヒルなどの動物や情景が見えるようで楽しい。魅力的なアルバムだ。
文:横原千史
(ぶらあぼ2023年7月号より)

【information】
CD『Prokofiev Story/滝千春』

プロコフィエフ:ヴァイオリン・ソナタ第1番、同第2番、ピーターと狼(ヴァイオリンとピアノ版)(根本雄伯編)

滝千春(ヴァイオリン)
沼沢淑音(ピアノ)

妙音舎
MYCL-00027 ¥3520(税込)