ビジネスマンがプロデュースする情熱のイタリア・オペラ
2017年5月。三河市民オペラ《イル・トロヴァトーレ》の公演に接した筆者は度肝を抜かれた。「市民オペラ」のイメージを大きく超えた、日本最高水準の舞台だったからだ。
新国立劇場以外に公共の歌劇場を持たない日本で、「市民オペラ」はオペラの屋台骨の一つ。そんな中で「三河市民オペラ」は極めて個性的だ。地元のビジネスマンが中心になって制作委員会を立ち上げ、「感動」や「熱狂」をキーワードに、公開オーディションの導入などを通じてレベルアップを図り、数年に1回のペースで高い水準の舞台を実現しているからだ。「三河市民オペラの公演なら聴きたい」というファンは着実に増えている。
5回目の公演となる今回は、ジョルダーノの《アンドレア・シェニエ》。フランス革命で断頭台の露と消えた伝説的な詩人を扱った情熱的な物語は、三河市民オペラの「熱気」に相応しい。森谷真理、上江隼人ら三河市民オペラの「伝説」を作ってきた名歌手たちともども、語り継がれる名舞台になるに違いない。
文:加藤浩子
(ぶらあぼ2023年3月号より)
2023.5/6(土)、5/7(日)各日14:00 アイプラザ豊橋
問:三河市民オペラ制作委員会 info@mikawa-opera.jp
http://www.mikawa-opera.jp