6人の奏者を要し、打楽器創作史に燦然とそびえる高峰が、クセナキス生誕100年を記念してリリースされた。この作曲家をライフワークとする主宰者の上野信一の、いわば決定版とも言うべき録音だ。「ペルセファッサ」では、打撃音の奔流が渦を巻きながら聴き手を包み、らせん状に高揚する。4楽章からなる大作「プレイアデス」はクセナキスが考案した打楽器SIXXEN(シクセン)によるガムラン音楽のようにキラキラとした音響空間が、ヴィブラフォンやマリンバの不思議な韻律や、ボンゴ、コンガ、タムタム等の描く呪術的世界へと移り変わっていく。演奏はカオスをコントロールするという難題にも明快に応えている。
文:江藤光紀
(ぶらあぼ2023年1月号より)
【information】
CD『クセナキス:ペルセファッサ、プレイアデス/上野信一&フォニックス・レフレクション』
クセナキス:ペルセファッサ、プレイアデス
上野信一&フォニックス・レフレクション
【悪原至 上野信一 亀尾洸一 新野将之 曲淵俊介 峯崎圭輔(以上パーカッション)】
コジマ録音
ALCD-7284 ¥3080(税込)