12月に「ウィーン弦楽合奏団」の名で来日ツアーも予定されているトマシュ・ヴァブニツ(ヴァイオリン、ヴィオラ)が指揮する室内管弦楽団による、ペルト作品の最新録音盤。ポーランドのコロラトゥーラ・ソプラノ、アレクサンドラ・クジャクとスター・テノール、ロベルト・アラーニャが夫婦で参加しているタイトル曲の弦楽オーケストラ版も当然聴きどころだが、弦楽三重奏とピアノによる静謐な「我が心はハイランドに」を筆頭に人気カウンターテナーのアンドレアス・ショルの美声を起用した4篇にどうしても心を掴まれてしまう。他、代表曲「鏡の中の鏡」も素晴らしい。
文:東端哲也
(ぶらあぼ2022年12月号より)
【information】
CD『アルヴォ・ペルト:スターバト・マーテル/アレクサンドラ・クジャク 他』
アルヴォ・ペルト:フラトレス、我が心はハイランドに、天にまします我らの父よ、鏡の中の鏡、何年も前のことだった、巡礼者の歌、スンマ、スターバト・マーテル
アレクサンドラ・クジャク(ソプラノ)
アンドレアス・ショル(カウンターテナー)
ロベルト・アラーニャ(テノール)
トマシュ・ヴァブニツ(指揮)
モーフィング室内管弦楽団
APARTE/キングインターナショナル
AP 277 ¥オープン価格