ピアソラや古典タンゴなしで挑む勝負の一夜
小松亮太の愛弟子で、彼も才能を高く評価するバンドネオン界のホープ、北村聡。『B→C』にバンドネオン奏者が登場するのは、小松以来、何と約10年ぶりだが、プログラムは恩師譲りの革新に満ち溢れている。というのも、彼は今回、十八番のピアソラや古典タンゴを一切封印しているのだ。前半はバンドネオン・ソロで、J.S.バッハのフランス組曲やファンタジアをはじめ、スカルラッティ、フレスコバルディといったバロック作品を演奏。楽器の構造上、複雑な声部の弾き分けが大変困難といわれている中での挑戦だ。そして後半は、北村のために書かれた作品を中心とした現代作品を6曲。ディエゴ・スキッシとグスタヴォ・ベイテルマンは今回が世界初演だ。中島ノブユキの作品では、北村と同郷のチェリストで、東響の若き首席奏者として活躍する西谷牧人と共演。さらに鈴木崇朗と演奏する武満徹の2台バンドネオンとテープ音楽の作品など、一瞬たりとも聴き逃すことができないセンセーショナルな一夜になることだろう。
文:渡辺謙太郎
(ぶらあぼ + Danza inside 2014年9月号から)
9/16(火)19:00
東京オペラシティ リサイタルホール
問:東京オペラシティチケットセンター
03-5353-9999
http://www.operacity.jp