【CD】ソル:ギターのための全練習曲/原善伸

 フェルナンド・ソル(1778〜1839)はスペイン出身、パリやロンドンで活躍したギターの名手。教育にも力を入れ、6つの練習曲集を発表した。その全曲録音に臨んだのは、1973年にデビュー、ドイツにも学んで、国際的な活躍を続けるギタリストの原善伸。ソルも認めた銘器ラコート(1828年製)を用い、やはり彼が推奨した、爪を使わない「指頭奏法」を実践。その音色は豊潤かつ繊細で、様々なギター奏法を体系的に学ぶための「練習曲」でありながら、彩り豊かで芸術的な芳香を放つ、これらの曲集の魅力を浮き彫りに。ソルと原、2人の先達への敬愛の込もった鈴木大介の解説も、一読の価値がある。
文:寺西肇
(ぶらあぼ2022年3月号より) 

【information】
CD『ソル:ギターのための全練習曲/原善伸』

ソル:12の練習曲 op.6、同op.29、24の漸進的なレッスン op.31、24の課題曲 op.35、24の漸進的な小品 op.44、25のギター練習への入門 op.60

原善伸(ギター)

コジマ録音
ALCD-7272〜7275(4枚組) ¥4950(税込)