愛知室内オーケストラ 特別演奏会

ベートーヴェンの協奏曲や室内楽を名手オピッツとともに

愛知室内オーケストラ

 ドイツの正統的ピアニズムを受け継ぐゲルハルト・オピッツ。2002年に結成され、着実に実力を上げてきた愛知室内オーケストラが、この年末に興味深い共演を果たす。

 まずベートーヴェン「ピアノ協奏曲全曲演奏会」。2夜にわたって紀尾井ホールで行われる演奏会では、ベートーヴェンの5曲の「ピアノ協奏曲」だけでなく、作曲家自身が「ヴァイオリン協奏曲」を編曲した「ピアノ協奏曲 ニ長調」も演奏される。つまり6曲の協奏曲を2夜で聴くことができる。

 第1夜(12/27)では第1番〜第3番が、第2夜(12/28)では、ベートーヴェンの代表的傑作「皇帝」と並んで、その「ニ長調」と第4番の3曲が演奏される。2夜連続で聴けば、ベートーヴェンの協奏曲についてのアイディアの発展がよく分かるだろうし、オピッツの正統的なアプローチによって、それぞれの作品の個性も浮き彫りになる。両夜とも、指揮は名手揃いのオケ、ソロイスツ・ヨーロピアン・ルクセンブルクを率いるクリストフ・ケーニヒが務める。彼もドイツ(ドレスデン)生まれで、ヨーロッパの名門オケにも客演するなど活躍中。そのタクトで、実力派若手奏者を揃えた愛知室内オーケストラをどう導くか、楽しみである。

 さらに、もう1つのコンサート「室内楽の夕べ」が企画された。モーツァルト、ベートーヴェン、ブラームスの室内楽を、オピッツと同楽団のメンバーが演奏する。世代を越えて、古典的名作を共演する両者の新鮮な音楽的対話に期待したい。
文:片桐卓也
(ぶらあぼ2021年12月号より)

ゲルハルト・オピッツ ベートーヴェン ピアノ協奏曲 全曲演奏会
2021.12/27(月)、12/28(火)各日19:00 紀尾井ホール

*出演を予定していた指揮のクリストフ・ケーニヒは、新型コロナウイルス感染症に係る入国制限により来日できなくなりました。代わりにユベール・スダーンが出演いたします。(12/8主催者発表)
詳細は下記ウェブサイトでご確認ください。

室内楽の夕べ
2021.12/21(火)19:00 愛知/三井住友海上しらかわホール
12/22(水)19:00 浜離宮朝日ホール
問:パシフィック・コンサート・マネジメント03-3552-3831 
http://www.pacific-concert.co.jp