名手・椎名雄一郎による、大バッハへ影響を与えた北ドイツ・オルガン楽派の巨匠たちを特集するシリーズ。第2弾は、若きバッハが実際に面会したブクステフーデ、親交があったとみられるベーム、そしてブルーンスという“三大B”を取り上げた。今回も、北独ノルデンにある17世紀に建造された銘器シュニットガーを操り、作品への敬意のこもった、繊細かつ大胆な演奏を披露。創意あふれるレジストレーション(音色の選択)が豊かな彩りや立体感をもたらす一方、楽器を鳴らし切る場面でも、決して対位法の構築感は揺るがない。そして、その響きの向こうには、必ずバッハの気配を感じ取らせる。
文:寺西 肇
(ぶらあぼ2021年11月号より)
【information】
CD『バッハの源流を求めて―三大「B」ブクステフーデ、ベーム、ブルーンス/椎名雄一郎』
ブクステフーデ:トッカータ ニ調、コラール「天にましますわれらの父よ」(シャイト編)、カンツォネッタ ト調/ベーム:プレリュディウム ニ調、キリストは死の縄目につながれたり/ブルーンス:プレリュディウム ト調・ホ調、いざ来ませ 異邦人の救い主よ 他
椎名雄一郎(オルガン)
コジマ録音
ALCD-1195 ¥3080(税込)