福田進一のレパートリーの拡がり及び高水準の演奏には毎回感嘆させられる。伊〜仏〜独と伝播するバロックの流れをフォローするコンセプト・アルバム『バロック・クロニクルズ』に続いての本作では、バロック・リュートの大家たるヴァイスの組曲「異邦人」を中心に据え、その前後に活躍したドイツ以外の作曲家=「異邦人」(まさに!)たちの生み出した音楽史を辿る。前作よりは玄人好みの作品が並んでいる感はあるが、その演奏はさらに素晴らしく、それはメイン曲たる「異邦人」での各舞曲における水際立った表現力を耳にすれば理解できよう。福田自身の意欲的な編曲も含め注目点は余りに多い。
文:藤原 聡
(ぶらあぼ2021年9月号より)
【information】
CD『バロック・クロニクルズⅡ ~異邦人~ /福田進一』
ヘンデル:サラバンドと変奏/ヴァイス:パッサカリア、プレリュードとファンタジー、組曲「異邦人」、トンボー〜ロジー伯爵の墓に捧ぐ/ロイスナー:パドゥアーナ/ザンボーニ:ソナタ第6番/チマローザ:3つのソナタ 他
福田進一(ギター)
マイスター・ミュージック
MM-4094 ¥3300(税込)