“詩人・バッハ”のイマジネーション
様式的に相応しい楽器を使い、作曲者が想定した響きを目指し、バッハの全オルガン作品を弾く全12回シリーズも、いよいよ大詰めに。10年がかりのプロジェクトに取り組む椎名雄一郎は、ウィーンに学び、2000年にライプツィヒ・バッハ国際コンクール3位入賞を果たした逸材。第11弾は、バッハ晩年の傑作「ライプツィヒ・コラール集」を取り上げる。「この曲集のほとんどは、過去に作曲したコラール前奏曲から、バッハ自身が選りすぐってまとめたもので、まさに『珠玉のコラール集』。彼はそもそも、コラールの歌詞を音楽として丁寧に表現する作曲家で、まさに“詩人・バッハ”です」と椎名。「この作品は抜粋では演奏されるものの、全曲となると機会に恵まれません。しかし、本来は『フーガの技法』や『音楽の捧げ物』と同様、ツィクルスとして書かれています。今回は、作品の原曲となったコラールと交互に演奏し、比較してもらうことで、“詩人・バッハ”の想像力を実感していただければ」と熱っぽく語る。
文:寺西 肇
(ぶらあぼ2014年5月号から)
★5月18日(日)・東京芸術劇場
問:アレグロミュージック03-5216-7131
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