音楽への限りない愛情と野心的な思い
2人の名手が相見えるところ、“何か”が起こるはず。東京芸大に学び、ゲルハルト・ボッセやライナー・ホーネックら巨匠の薫陶を受け、東京交響楽団員として活躍する一方、ソリストとしてもキャリアを積んできたヴァイオリンの小川敦子。そして、やはり東京芸大を経て、第65回日本音楽コンクールなどを制した上、ジュネーヴ音楽院やパリ国立地方音楽院に学んで、ソリストとして東京交響楽団や東京都交響楽団など国内の主要楽団と共演、歴史的奏法にも精通するピアノの橘高昌男。ブラームスの第2番、シュニトケの第1番、モーツァルトの第26番KV378、という3つのヴァイオリンとピアノのための名ソナタに、ヴィエニャフスキの「グノーの《ファウスト》の主題による華麗なる幻想曲」を添えた独創的なラインナップには、音楽への限りない愛情と、野心的な思いとが交錯する。通り一遍のプログラムでは満足できない人にこそ、お勧めのステージ。その期待に必ずや、2人は応えてくれるだろう。
文:笹田和人
(ぶらあぼ2014年5月号から)
★5月16日(金)・王子ホール Lコード:39419
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