金子亜未(オーボエ)

ソロとオーケストラで活躍する逸材登場

 札幌交響楽団の首席奏者で、2012年国際オーボエコンクール・軽井沢で歴代日本人最高タイとなる第2位に入賞した金子亜未が紀尾井ホールのシリーズ《紀尾井 明日への扉》に登場する。
「聴きやすい曲、わかりやすい曲を選んでみました。ドニゼッティのソナタとポンキエッリの《カプリッチョ》は、オペラの情景の移り変わりを凝縮したような面白い曲です。ブリテンの生誕100年だった昨年、札響で尾高忠明先生と『戦争レクイエム』を演奏したので、なにか一曲入れたいなと思って、『オウィディウスによる6つのメタモルフォーゼ』の中から好きな3曲を。シューマンの『アダージョとアレグロ』はホルンの曲ですが、他の楽器でもよく演奏されます。東京芸大の試験でも吹いたことがあります。プーランクのソナタは、天国に昇っていくような最終楽章が特に大好き。でも学生の頃、六重奏や三重奏はすごく好きでよく吹いていたのに、なぜかソナタの良さはわからず、卒業してから急にやりたくなった曲。大人になったのかなと(笑)。サン=サーンスのソナタはオーボエ奏者には欠かせない曲。イタリア、フランス、ドイツと、それぞれの作曲家をどう吹き分けるか、自分の課題ですし、お客様に楽しんでいただきたいところです」
 ピアノは大学時代から共演を重ねる平川加恵。
「2学年上の作曲科の方で、とても信頼しています。いつもアンコール用に編曲を用意してくれるので、今回もご期待ください」
 ジュニア・オーケストラ活動が盛んな千葉の出身で、小学校4年生からオーボエを始めた。東京芸大を卒業してすぐに札幌へ。
「初めての一人暮らしなので、千葉の実家から母がしょっちゅう訪ねてきます(笑)。オーボエの首席は管楽器パート全体を引っ張る立場なので、ついてきてもらえるような音色だったり音量だったり、影響力のある吹き方を心がけています。オーケストラはさまざまなことを学べる場所なので、ずっと続けていきたいです」
 市内のジンギスカンやラーメンを食べ歩いたり、夏は道内のドライブ、冬は温泉やスキーと、北海道ライフも楽しんでいるようだ。趣味は手芸とのこと。
「ビーズで動物を作ったりとか。高校が家政科だったのです」
 そんな手先の器用さは、オーボエに欠かせないリード作りにも役立っていそうだ。このリサイタルの翌日に24歳の誕生日を迎えるという、まだ少女っぽい笑顔がチャーミングな若き実力派を聴き逃せない!
取材・文:宮本 明
(ぶらあぼ2014年3月号から)

紀尾井 明日への扉 4
金子亜未(オーボエ)
★3月10日(月)・紀尾井ホール Lコード:36428
問:紀尾井ホールチケットセンター 03-3237-0061
http://www.kioi-hall.or.jp