多彩な歌手陣と地域の人々の心意気が詰まったステージ
「創る」「演じる」「観る」喜びを、より多くの人と分かち合おうと、プロのアーティストや市民、学生、八王子市学園都市文化ふれあい財団が力を合わせ、毎年開いている手作りのステージ「南大沢コミュニティオペラ」。2020年3月にも公演を予定していたが、折しも深刻化したコロナ禍により中止に。しかし、「せっかくの灯を絶やしてはならない」と、スタイルを変え、名旋律を詰め込んだ贅沢な「八王子コミュニティオペラ ガラコンサート」を新春に開く。
この企画は、日本を代表する名テノールで、藤原歌劇団や新国立劇場などで活躍する村上敏明を芸術監督に迎えて、14年にスタート。合唱や裏方には市民が参加し、衣裳やメイク、映像制作に学生たちが協力するなど、地域に根付いた活動を展開し、ヴェルディ《椿姫》などイタリア作品をはじめ、ウィーンのオペレッタやモーツァルト《魔笛》など、多彩な作品の上演を実現させてきた。
今回、ステージには村上をはじめ、メゾソプラノの二瓶純子ら総勢11人の名歌手たちが集結。音楽監督を務める江澤隆行らのピアノを交えて、まずは3月に上演予定だったビゼー《カルメン》からハバネラ〈恋は野の鳥〉や闘牛士の歌〈諸君らの乾杯を〉など名アリアや二重唱の聴きどころを披露。さらに、モーツァルトの2つの傑作オペラ《ドン・ジョヴァンニ》と《コジ・ファン・トゥッテ》の二・三重唱を。そして、チマローザやドニゼッティ、ヴェルディなど、イタリアの傑作からの豪奢な二〜四重唱で締め括る。
文:笹田和人
(ぶらあぼ2020年12月号より)
2021.1/9(土)15:00 いちょうホール
問:八王子市学園都市文化ふれあい財団042-621-3005
http://www.hachiojibunka.or.jp