【CD】“八木節” 幸松肇編:弦楽四重奏のための日本民謡集 第1集〜第4集/クァルテット・エクセルシオ

 我々がよく知る民謡のアレンジとして楽しいし、それぞれが単独の芸術作品という斬新さも持っている、幸松肇の名編曲。“民謡を弦楽器で弾きました”という次元とは一線を画し、日本民謡と西洋弦楽器の表現語法を突き詰め、クラシックの歴史の文脈で再創造した、いわばバルトークの境地に近づくもの。16曲中前半は土俗性や素朴さが強く、後半は独特の渋さや苦みも現れ、飽きさせない。クァルテット・エクセルシオの感興豊かな万全の演奏により、編曲の新しさとともに、原曲の面白さや味わいも失わず楽しめる。昨年の収録だが、“ホーム”で過ごす時間の増えた今こそ聴きたい、好企画のアルバムだ。
文:林 昌英
(ぶらあぼ2020年9月号より)

【information】
CD『“八木節” 幸松肇編:弦楽四重奏のための日本民謡集 第1集〜第4集/クァルテット・エクセルシオ』

幸松肇編:弦楽四重奏のための日本民謡集 第1集〜第4集

クァルテット・エクセルシオ
【西野ゆか 北見春菜(以上ヴァイオリン) 吉田有紀子(ヴィオラ) 大友肇(チェロ)】

ナミ・レコード
WWCC-7926 ¥2500+税