横山幸雄“入魂のショパン” Vol.11 2日間で満喫するショパン〜その人生と作品〜

ショパンの生涯を音で追体験する濃密な時間

C)アールアンフィニ
 横山幸雄がショパン国際ピアノ・コンクールに入賞して、今年でちょうど30年。入賞以来、通常の演奏会はもちろん、誰にも真似できないようなあっと驚く企画で、ショパンを骨身に染み込ませてきた。なかでも2010年のショパン生誕200年にギネス世界記録となった、ピアノ曲全166曲の演奏会以来、毎年ゴールデンウィークに継続してきた「入魂のショパン」は、もはやこの季節の恒例となった。

 11回目の今年は、2日間各日、本編が13時半から21時というスケジュール。そして原点に立ち返るように、概ね作曲年代を追う形で、ほとんどのピアノ曲を演奏する。衣装はコシノヒロコ。各部のスタートには、横山がどんな姿で現れるかという楽しみもある。

 そして今回新しいのは、両日午前中にピアノとお話による「未来のショパニストのための『ショパン物語』」が催されること。横山が台本、構成を手がけたといい、未就学児、それも0歳から入場可能。小さいうちから本物を聴かせたいという親の願いを叶えてくれる、ゴールデンウィークに嬉しい企画だ。

 この長丁場の演奏会、一度参加すると、ショパンの全生涯を音で追体験したことへの不思議な充実感を覚え、また行ってみたくなる。客席の一体感も特別で、同時代に生きるピアニストの美しい音を共有する喜びが終始漂う。
 年々、ショパンへの共感を強めてゆく横山。そのピアニストとしての一つのステップを、今年も会場で聴いておきたい。
文:高坂はる香
(ぶらあぼ2020年4月号より)

*新型コロナウィルス感染症の感染拡大の観点から、延期となりました。
詳細は下記ウェブサイトでご確認ください。

https://www.japanarts.co.jp/news/news.php?id=4940

2020.5/2(土)、5/3(日・祝)各日第1部13:30〜 東京オペラシティ コンサートホール
「未来のショパニストのための『ショパン物語』」は両日11:00〜
問:ジャパン・アーツぴあ0570-00-1212 
https://www.japanarts.co.jp
※公演の詳細は上記ウェブサイトでご確認ください。