次代をリードする若き才媛の情感あふれるステージ
オランダ出身の気鋭、シモーネ・ラムスマが無伴奏ヴァイオリンによるリサイタルを開く。ラムスマはこれまでにロイヤル・コンセルトヘボウ管やシカゴ響、ニューヨーク・フィルなど、トップレベルのオーケストラと数多く共演し、60曲を超えるヴァイオリン協奏曲のレパートリーを誇るという才人。日本ではすでに2017年、18年に読響と共演を果たしている。録音ではショスタコーヴィチのヴァイオリン協奏曲第1番や、グバイドゥーリナのヴァイオリン協奏曲「今この時のなかで」といった作品で、雄弁な演奏を聴かせている。
そんな幅広いレパートリーを誇るラムスマが無伴奏リサイタルのために組んだのは、テレマン、バッハ、ヒュー・ワトキンス、イザイからなるプログラム。バロックから現代までの幅広い時代の作品が並べられた。テレマンの「12の幻想曲」より第7番と、バッハの無伴奏ヴァイオリン・パルティータ第2番は、同時代のドイツを生きたふたりの作曲家の親和性の高さを気づかせる。ワトキンスは1976年、ウェールズ生まれの作曲家。アリーナ・イブラギモヴァのために書かれた「パルティータ」が演奏される。無伴奏の「パルティータ」となればバッハを連想せずにはいられないが、作風はそんな期待に沿ったもの。これにイザイの無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第4番と同第3番「バラード」が続く。鮮やかな技巧とスケールの大きな表現を披露してくれることだろう。
文:飯尾洋一
(ぶらあぼ2020年3月号より)
*新型コロナウイルス感染症の拡大の影響に伴い、出演者の来日がかなわなくなったため、本公演は中止となりました。(3/24主催者発表)
詳細は下記ウェブサイトでご確認ください。
https://www.ojihall.jp/topics/information.html#20200405
2020.4/5(日)14:00 王子ホール
問:王子ホール チケットセンター03-3567-9990
https://www.ojihall.jp