【CD】牧神の午後への前奏曲〜フルート・アンサンブルの愉しみ〜/工藤重典

 工藤重典が定期的に開催するフルート・アンサンブル。彼のソロを聴けるのはもちろん、彼を慕う奏者たちがその芸術を継承していく場でもあり、寄せ集めではない練られたアンサンブルが聴ける。表題曲はフルート合奏になると妖艶さよりも快い美しさを味わえて新鮮。もとよりフルートの響きと相性が良い古典作品は、この楽器ならではの典雅な美を楽しめる。共にランパルの薫陶を受けた工藤とアドリアンによるドップラーのデュオ作品は、二人の世界的名手の手腕と歌心が聴きもので、曲を知り尽くした合奏メンバーの共感も深い。「剣の舞」は毒気が抜けてなんとも微笑ましい。
文:林 昌英
(ぶらあぼ2019年5月号より)

【Information】
CD『牧神の午後への前奏曲〜フルート・アンサンブルの愉しみ〜/工藤重典』

ドビュッシー:牧神の午後への前奏曲/ハイドン:ロンドン・トリオ第4番/モーツァルト:アンダンテ ト長調(K.448より)/ボワモルティエ:5本のフルートのための協奏曲 op.15-1/ドップラー:アンダンテとロンド/ハチャトゥリアン:剣の舞 他

工藤重典(フルート/指揮)
アンドラシュ・アドリアン(フルート) 他

収録:2018年6月、Hakuju Hall(ライヴ) 他
マイスター・ミュージック
MM-4053 ¥3000+税