【CD】中島克磨 WORKS 作曲&編曲集

 中島克麿の作品はロシアをはじめ海外で多く演奏されており、また編曲者としても着実な仕事を残してきた。その軌跡を一望するアルバム。師匠筋をたどるとハチャトゥリアンからリムスキー=コルサコフに至るという経歴通り、「地球」は映像的情景喚起力に富み、管弦楽は力強くダイナミックに鳴る。続く協奏曲、電子オルガン曲はそれぞれに語り口は異なるが、誠実な自己表現が聴かれる。後半はピアノ・アレンジの仕事。ロシア的哀愁やにぎにぎしさといった原曲の雰囲気が生きており、そこに作曲者に対する敬意を感じる。「ジュピター」で冒頭の「地球」を回顧しつつアルバムを締めている。
文:江藤光紀
(ぶらあぼ2019年4月号より)

【Information】
CD『中島克磨 WORKS 作曲&編曲集』

中島克磨:交響的挿話「地球」、トランペット小協奏曲、電子オルガンのための「エクソシズム」/ハチャトゥリアン(中島編):「仮面舞踏会」より/ホルスト(同):ジュピター 他

栁沢寿男 木村厚太郎(以上指揮)
ミハイル・ドゥルジーニン(トランペット)
サンクトペテルブルク交響楽団
西岡奈津子(電子オルガン)
近藤由貴(ピアノ) 他

ナミ・レコード
WWCC-7892 ¥2500+税