〈エスポワール シリーズ 12〉Vol.1― 日本歌曲 嘉目真木子(ソプラノ)

人気シリーズに歌手が初登場! 声の魅力で迫る

©Klara Beck
 オープン2年目から始まった〈エスポワール シリーズ〉は、「若手の発掘・育成」というトッパンホールのコンセプトをもっともよく反映した企画である。今後の活躍が期待される若手演奏家とホールが、共同で企画して全3回のコンサートを行う。これまでに同シリーズに登場したアーティストには、ギターの大萩康司、ヴァイオリンの日下紗矢子、ピアノの河村尚子など、現在めざましい活躍を繰り広げている顔ぶれも少なくない。

 ソプラノの嘉目真木子は、その〈エスポワール シリーズ〉12代目にして初の歌手となる。これまでそのキャリアのほとんどをオペラの舞台で培ってきた嘉目。最近では、宮本亜門演出のオペラ《金閣寺》のフランスと東京両公演に出演し、大きな話題となった。まさに「日本を代表するプリマ」に成長しつつある嘉目が歌曲のリサイタルを開くというのだから、注目しないわけにはいかない。

 第1回となる今回取り上げるのは日本歌曲。瀧廉太郎、山田耕筰から、嘉目が中学・高校時代に合唱で歌い、大いに影響を受けたという木下牧子の作品まで、プログラムには彼女の知性と感性、さらには「歌」に対する姿勢がはっきりと表れたものになっている。ピアノは、〈エスポワール〉第10代のアーティストで、現在の若手ピアニストの中でも高い評価を受ける北村朋幹。「音楽」と「詩」に真摯に向き合うふたりのコラボレーションがどのような世界を生み出すのかにも注目が集まる。
文:室田尚子
(ぶらあぼ2019年4月号より)


2019.4/13(土)17:00 トッパンホール
問:トッパンホールチケットセンター03-5840-2222 
http://www.toppanhall.com/