【CD】ドビュッシーとパリの詩人たち/青柳いづみこ&高橋悠治

 日本を代表するドビュッシー研究家・ピアニストである青柳いづみこによる本ディスクは、ドビュッシーの「印象派」というイメージをくつがえす重要なものとなっている。ドビュッシーは象徴派や高踏派の詩人と親交を結び、影響を受けた楽曲を数多く残した。詩と密接に結びついた音楽が青柳と高橋悠治との連弾や青柳と盛田麻央のデュオによって紡がれていく。特に歌曲はドビュッシーが若い頃から熱心に取り組んだジャンルであり、彼の本質が存分に表れている。美しくも毒をはらんだこれらの作品を繊細に、かつ劇的に聴かせてくれる盛田の歌唱が特に魅力的だ。
文:長井進之介
(ぶらあぼ2019年3月号より)

【Information】
CD『ドビュッシーとパリの詩人たち/青柳いづみこ&高橋悠治』

ドビュッシー:牧神の午後への前奏曲(高橋悠治によるピアノ連弾版)、ステファヌ・マラルメの3つの詩、小組曲、亜麻色の髪の乙女、ビリティスの3つの歌、6つの古代碑銘

青柳いづみこ 高橋悠治(以上ピアノ)
盛田麻央(ソプラノ)

コジマ録音
ALCD-7226 ¥2800+税