楽団員の名技が光るマルタンと抒情溢れるマーラーを
東京シティ・フィルは、江東区と芸術提携を結び、ティアラこうとう(江東公会堂)で、1年に数回、ティアラこうとう定期演奏会を開催している。以前は、名曲コンサート的な性格が強かったが、高関健が常任指揮者に就任してからは、東京オペラシティ・コンサートホールでの定期演奏会と変わらない凝ったプログラムが組まれるようになった。7月のティアラこうとう定期は、まさに上昇機運にある東京シティ・フィルの今を知るのに最適のプログラムといえよう。
前半のマルタンの「7つの管楽器とティンパニ、打楽器と弦楽のための協奏曲」では、首席奏者たちがソリストを務める。特に同楽団の管楽器は、フルートの竹山愛やトランペットの松木亜希ら、若くて優秀な首席奏者が加わり、近年著しく演奏水準を上げている。1949年に、ソリストたちの音楽性と技量の発揮を目的としてこの作品を書いたマルタンは、発音方法やメカニズムの違う7つの楽器の特徴を最大限に生かすように努めた。
後半は、マーラーの交響曲第4番。マーラーの交響曲のなかでは、比較的規模の小さい作品であるが、メルヘン的な魅力に溢れている。高関がマーラーを得意としているだけに、どのような演奏が繰り広げられるのか非常に楽しみである。また、第4楽章のソプラノ独唱を幸田浩子が務めるのにも注目。天使の歌声のような澄んだ声が必要とされるこの作品には彼女の声がぴったりである。
文:山田治生
(ぶらあぼ2018年8月号より)
第54回ティアラこうとう定期演奏会
2018.7/28(土)14:00 ティアラこうとう
問:東京シティ・フィル チケットサービス03-5624-4002
http://www.cityphil.jp/