ルドヴィク・モルロー(指揮) 読売日本交響楽団

真夏に相応しい極彩色のサウンド炸裂!

 つい先頃、次期常任指揮者(セバスティアン・ヴァイグレ)を発表し、新しい時代を迎える読売日本交響楽団。しかし、シルヴァン・カンブルランとの約8年間で得た色彩的なサウンドが、失われることはないはずだ。それを再確認したくなるようなコンサートが、フランス(リヨン)生まれのルドヴィク・モルローを指揮台に迎えた7月末の定期演奏会。シアトル交響楽団の音楽監督を務め、ベルリン・フィルやサイトウ・キネン・オーケストラほか世界各地の主要オーケストラにも客演。しかし首都圏で聴けるチャンスはまだ稀少という、40代のマエストロだ。
 プログラムは、真夏の気分を盛り上げるガーシュウィンのラテン系ナンバー「キューバ序曲」でスタート。小曽根真がソロを弾くスリリングな「ラプソディ・イン・ブルー」は、究極のエンターテインメントにして、もはやクラシック音楽界の至宝だといえるだろう。ドビュッシーの官能的な「牧神の午後への前奏曲」で気分をクールダウンした後は、心と身体が前のめりになるエネスコの「ルーマニア狂詩曲第1番」でヒートアップ。そしてフィナーレは、すべての熱狂と色彩がコンサートホールにあふれるラヴェルの「ダフニスとクロエ」第2組曲。
 これぞ、オーケストラの色彩感! というプログラムは、ジャズやポピュラー音楽ファンも含むクラシック音楽ビギナーにも、夏休み中の吹奏楽プレイヤーたちにもおすすめだ。
文:オヤマダアツシ
(ぶらあぼ2018年7月号より)

第208回 土曜マチネーシリーズ 
2018.7/28(土) 14:00
第208回 日曜マチネーシリーズ 
2018.7/29(日) 14:00
東京芸術劇場 コンサートホール
問:読響チケットセンター0570-00-4390
http://yomikyo.or.jp/