フランスの雰囲気と“2人”のシューマンを感じるプログラム
本場ドイツで認められた、清冽な音色を体感したい。ベルリンと東京に拠点を置き、国際的に活躍している実力派ヴァイオリニストの植村理葉が、知的な雰囲気を湛えたプログラムによるリサイタルを開く。ミケランジェロ・アバド国際での優勝をはじめ、数々の主要コンクールで上位入賞。ケルン音大やローザンヌ音楽院、ドレスデン音大をいずれも最優秀で卒業し、現在は国内外でソリストとして、精力的な演奏活動を展開している。
今回はピアノの江尻南美と共演。前半では、ベルギーの夭折の作曲家ルクーのソナタに、武満徹が瀧口修造の同名詩に触発されて創作した、どこかフランスの空気感を漂わせる佳品「妖精の距離」を。そして、後半ではクララの「3つのロマンス」にロベルトの「ソナタ第2番」とシューマン夫妻、さらにロベルトを含む3人の作曲家が共作した「F.A.E.ソナタ」から、ブラームス作曲の「スケルツォ」を披露。巧みに関連付けられた作品たちが、植村の深みある音楽性と豊かな音色によって共鳴、さらなる輝きを帯びる。
文:笹田和人
(ぶらあぼ2018年3月号より)
2018.4/5(木)19:00 東京文化会館(小)
問:ミリオンコンサート協会03-3501-5638
http://www.millionconcert.co.jp/