田中淑惠(メゾソプラノ)

名作ドイツ・リートへの美しき誘い

 豊潤で美しい声と深い精神性を湛えた歌い回しで、わが国を代表する名メゾソプラノとして、聴衆を魅了し続けている田中淑惠。まさに“ドイツ・リートの真髄”とも言うべき、シューベルトとシューマンの傑作ばかりを揃えた、注目のリサイタルが開かれる。
 田中は、国立音大から東京芸大大学院、ウィーン国立音大で学び、1980年のミュンヘン国際音楽コンクールでは、声楽部門で6年ぶりとなる第1位に輝いた。国内外の第一線楽団と共演を重ねる一方、オペラの檜舞台でも活躍。リサイタルやテレビ、ラジオ出演でも好評を博し、「歌の楽しさを1人でも多くの人に」と精力的に活動を続けている。
 今回のリサイタルは、ピアノの中井恒仁が共演。前半では、ゲーテの詩による「野ばら」をはじめ、「楽に寄す」「ます」「菩提樹」「君よ知るや南の国」など、“王道中の王道”とも言える計10曲のシューベルトの名歌を披露。そして、後半では、ヨーゼフ・アイヒェンドルフの詩に基づく、シューマン「リーダークライス op.39」全12曲を取り上げる。
文:笹田和人
(ぶらあぼ2017年12月号より)

2017.12/16(土)14:00 東京文化会館(小)
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