小山実稚恵らが芸術選奨文部科学大臣賞を受賞

 平成28年度(第67回)芸術選奨の贈呈式が3月14日都内で行われた。音楽部門では、ピアニストの小山実稚恵と笙奏者の宮田まゆみが、それぞれ文部科学大臣賞を、指揮者の山田和樹が文部科学大臣新人賞を受賞した。また、舞踊部門では、振付家・ダンサーの近藤良平が文部科学大臣賞を、バレエダンサーの米沢唯が文部科学大臣新人賞を受賞した。
(2017.3/14 東京都内 Photo:H.Yamada/Tokyo MDE)

上段:山田和樹(左より2番目)、米沢 唯(左より3番目)
下段:近藤良平(左より3番目)、宮田まゆみ(左より4番目)、小山実稚恵(右より5番目)

 小山実稚恵は、日本を代表するピアニストとして、永年第一線で活躍を続け、特に12年・全24回にわたるリサイタルシリーズ「小山実稚恵の世界」で、古典から近現代作品まで、多様なレパートリーに体系的に取り組んだこと、またオーケストラとの共演、室内楽など幅広い分野での活躍が評価されての受賞となった。
 受賞について小山は「たいへんに名誉なことと受け止めています。演奏するうえで、自分が感じていることを表現することは容易なことではありません。一生に一度でいいから満足のいく演奏ができればいいな、と常に願いながら弾いてきました。これからも音楽を追究していきたいと思っています。今回の受賞は、音楽という道を歩んできた私の背中を押してくれたような感じ、励ましをいただきました。とても嬉しく思っています」と喜びを語った。

 宮田まゆみは、国内外において笙の魅力と可能性を広げる活動を展開しており、「笙リサイタル 甦る古譜と現代に生きる笙シリーズIII」では、笙を用いた現代音楽作品を披露したり、近衛家・陽明文庫所蔵の古譜に基づく「調子」の全曲演奏を行ったりするなど、時代やジャンルを超えた笙の魅力を最大限に引き出したことが高く評価された。

 山田和樹は、国際的に活躍する指揮者として、自ら立案した意欲的な企画を多数手がけ、正指揮者を務める日本フィルハーモニー交響楽団との「マーラー・ツィクルス」や、柴田南雄作品の演奏会、バーミンガム市交響楽団来日公演への客演などは「才能の輝きを改めて実感させる」と評価された。

 米沢唯は、所属する新国立劇場バレエ団の『ロメオとジュリエット』でヒロインの情熱や愛と死を通じての内面的成長、物語の悲劇的テーマを繊細に描くなど、高度な舞踊技術と軽快な音楽性に加え、演技力における格段の深まりを示したことが高く評価された。
 新人賞受賞者を代表して挨拶した米沢は、「バレエは、スタッフや同僚などみんなで創り上げていくものなので、受賞は周りで支えてくださるみなさまのおかげだと思っています。新国立劇場バレエ団に入団して7年目、理想とする踊りができるだろうかと自問自答するなかで、先日初めて『もう辞めたい』と母に電話をして弱音を吐いてしまったのですが、その翌日に今回の受賞の知らせを聞き、また頑張っていこうという気持ちが湧いてきました。これからも、観てくださる方々の体の奥深くに届くような踊りをしていきたい」と述べた。

 近藤良平は、自身が主宰するコンドルズの結成20周年記念ツアー「20th Century Boy」において、ダンス、生演奏、人形劇、映像など多様な表現を融合した独自の世界観を打ち出して大きな成果を収め、コンテンポラリーダンスの概念を拡張する挑戦的なクリエーション、ダンスを通した社会への貢献や次世代育成など、多領域にわたる活躍が高い評価を得た。

文化庁
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