異色の名手の世界的妙技に酔う
彼女は、この楽器には稀なスター奏者だ。慶應義塾大学で物理情報工学を専攻しながらトロンボーンの道へ進んだ清水真弓は、ベルリン・フィルのカラヤン・アカデミーに所属後、オーストリア初の女性首席トロンボーン奏者としてリンツ・ブルックナー管に入団。2012年からは南西ドイツ放送響の首席奏者を務めている。同楽器で独墺楽団の首席奏者になるのは、真に驚異的。国内でもサイトウ・キネン・フェスティバルへの出演、デビューCDが各誌の特選ほか4冠を達成するなど、実績は枚挙にいとまがない。彼女の演奏は、破格の技巧のみならず、絶妙なフレージングと音楽の訴求力の高さが魅力。それゆえ一般ファンもリサイタルを聴く甲斐がある。
そんな清水が、Hakuju Hall名物のスーパー・リクライニング・コンサートに登場。プログラムには、ロパルツ、ヨンゲン等の後期ロマン派ものから、藤倉大等の現代曲まで、同楽器の特性が全開となる作品が並ぶ。ここは、世界で活躍する彼女に声援を送りつつ、鮮烈かつ心地よい音楽を満喫しよう。
文:柴田克彦
(ぶらあぼ 2016年9月号から)
10/21(金)15:00 19:30 Hakuju Hall
問:Hakuju Hallチケットセンター03-5478-8700
http://www.hakujuhall.jp