高谷史郎(ダムタイプ) 『CHROMA(クロマ)』

色彩を巡る旅への誘い

Photo by Kazuo Fukunaga
Photo by Kazuo Fukunaga
 1984年結成のアーティスト・グループ「ダムタイプ」の創設メンバーで、パフォーマンスやインスタレーションにおいて視覚面を担ってきた高谷史郎。個人としても、国内外で坂本龍一をはじめとするアーティストとコラボレーションを重ね、最近はパフォーマンス作品の制作に精力的だ。2012年初演の『CHROMA(クロマ)』は、13年にフランスの「マルセイユ・フェスティバル」で上演され、ヨーロッパにも上陸した話題作。
 表題は「色相と彩度を合わせた色の性質」のこと。個性的な映像美学で知られる英国の映画監督デレク・ジャーマンが遺した、色彩に関する文章から想を得たという。音楽をジャーマンの映画音楽を担当したサイモン・フィッシャー・ターナーらが手掛け、薮内美佐子、平井優子ら気鋭のパフォーマー、それにミュージシャン、プログラマー、映像クリエイターを高谷が総合ディレクションとして統括し「色彩を巡る旅」へと誘う。
「アートとサイエンスは同じものの表と裏のようなものだ」と語る高谷は、パフォーマーによる身体表現と緻密な視覚・音響効果を結び付け、観る者を驚くべき世界へと誘う。圧倒的な吸引力と臨場感を伴う「高谷ワールド」を体感するのは、この上なくスリリングだ。
 なお21日公演終了後に本公演の入場券購入者を対象に、高谷と浅田彰(京都造形芸術大学教授)によるアフタートークが行われる(入場無料。ただし満席の場合制限あり)。
文:高橋森彦
(ぶらあぼ + Danza inside 2016年5月号から) 

5/21(土)、5/22(日)各日14:00 新国立劇場(中)
問:新国立劇場ボックスオフィス03-5352-9999 
http://www.nntt.jac.go.jp/dance