イジー・シュトルンツ(指揮) 東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団

独創性と親しみやすさが調和した名曲を集めて


 イジー・シュトルンツを指揮台に迎える東京シティ・フィル6月の定期演奏会では、スメタナの歌劇《売られた花嫁》序曲、チャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲、ドヴォルザークの交響曲第7番の3曲が演奏される。
 添えられたキャッチは「グローバル化を模索した3人の作曲家」。3人の作曲家はいずれも自国の民謡や音楽語法を創作力の源泉としながらも、西欧の古典音楽のスタイルにのっとった交響曲やオペラを書いて、独自の道を切り開いた。形態は古典的、でも素材は民族的。後世から見ればローカリズムの部分がクローズアップされがちだが、3人の作曲家が目を向けていたのは当時の基準でグローバルな存在とみなされたブラームスらの音楽だった、という視点での選曲なのだろう。結果として、オリジナリティと親しみやすさが完全に調和した名曲が並ぶのがおもしろいところ。
 チャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲でソロを務めるのは三浦文彰。2009年に世界最難関ともいわれるハノーファー国際コンクールで、史上最年少の16歳で優勝し、以来着実に活動の幅を広げる気鋭の若手奏者である。NHK大河ドラマ『真田丸』テーマ曲でソロを演奏したことでも話題を呼んでいる。
 指揮のイジー・シュトルンツは、1969年、チェコ出身で、プラハ国立歌劇場他で豊富なオペラの経験を誇るほか、プラハ・フィル他でコンサート指揮者としても活躍する。「お国もの」ならではの好演を期待できそうだ。
文:飯尾洋一
(ぶらあぼ + Danza inside 2016年5月号から)

6/9(木)19:00 東京オペラシティ コンサートホール
問:東京シティ・フィル チケットサービス03-5624-4002
http://www.cityphil.jp