チャイコフスキーに聴く“人生の思い出”
深みのある個性的なヴィオラの音色で多くの音楽ファンを唸らせていたユーリ・バシュメットが、「モスクワ・ソロイスツ」という合奏団を組織し、リーダーとしてさらに雄弁な活動をスタートさせたのが1992年のこと。その真価は来日公演や多くのCDなどで証明され、チャイコフスキーやショスタコーヴィチほかのスタンダード作品に新しい命を与えたのはもちろん、シュニトケほかの斬新な作品も紹介してくれた功績は大きい。
結成24年となる2016年の来日公演では、彼らがまさに自身の“血”で感じることができるであろうチャイコフスキーの「フィレンツェの思い出」(弦楽合奏)と「アンダンテ・カンタービレ」(ヴィオラと弦楽)を演奏。さらにはマーラーが弦楽合奏のために編曲したシューベルトの弦楽四重奏曲「死と乙女」も加わり、このアンサンブルが熟成させてきた豊かな音色を心ゆくまで堪能できるだろう。
さらに今回は、2015年の「チャイコフスキー国際コンクール」でピアノ部門の第1位を獲得したドミトリー・マスレエフがソリストとして登場(一部の公演を除く)。実はコンクール直後、15年8月に来日してPMFオーケストラと共演しているのだが、早くも再来日が実現。音楽性がストレートに伝わってくるであろうJ.S.バッハ「ピアノ協奏曲第1番」を演奏するので、一刻も早く若き覇者の演奏を聴きたいという方には朗報だろう。
文:オヤマダアツシ
(ぶらあぼ + Danza inside 2016年2月号から)
6/9(木)19:00 東京芸術劇場 コンサートホール
問:ジャパン・アーツぴあ03-5774-3040
http://www.japanarts.co.jp
1/31(日)発売
他公演
6/5(日)宗像ユリックス(0940-37-1483)、6/6(月)小金井 宮地楽器ホール(武蔵野文化事業団0422-54-2011)、6/10(金)いずみホール(06-6944-1188)