世界を射抜く「最前線」の響き——レオンコロ弦楽四重奏団が新体制で描く「死と乙女」

©Co Merz

 弦楽四重奏の若手世代で、世界の最前線を走るのがレオンコロ弦楽四重奏団である。2019年の結成後数年でウィグモア・ホールとボルドーの両名門コンクールで優勝を重ねて、瞬く間に次世代の代表的団体としての地位を確立した。2年前の初来日公演では、3人立奏で自在なアンサンブル、一分の隙もない精度、シャープかつ情熱的な演奏で聴衆の興奮と感動を誘い、話題を呼んだ。筆者が聴いた公演でもウェーベルンやベートーヴェンの完成度は驚異的で、実にエベーヌ弦楽四重奏団初来日時に匹敵する衝撃だった。

 メンバーは日本と縁が深く、第1ヴァイオリンのヨナタン・昌貴とチェロのルカス・実のシュヴァルツ兄弟は母親が日本人、ヴィオラは日本の名家直系の近衞麻由。さらに今年に入り、第2ヴァイオリンが日本の俊才・垣内絵実梨に交代することが発表された。垣内は発表前の数ヵ月も公演を重ねていたとのことで、新しいステップに踏み出した4人の清新なアンサンブルに期待が増すし、日本の若きアーティストたちが世界トップクラスで活躍する姿も頼もしい。

 5月の第一生命ホールでの公演は、20世紀前半オランダの女性作曲家、ヘンリエッテ・ボスマンスによるロマン派風の作品で開始。続いてメンデルスゾーンのロマンティックな名品第2番で淡い感動を誘い、シューベルトの名作「死と乙女」でクァルテットの真髄をみせる。初期ロマン派の早逝の二大家の傑作を、若きレオンコロQが奏でるのも期待大。間違いなく世界的スターになる彼ら、いま聴いておくべきだ。

文:林 昌英

(ぶらあぼ2026年4月号より)

クァルテット・ウィークエンド2026 – 2027 レオンコロ弦楽四重奏団
2026.5/10(日)14:00 第一生命ホール
問:トリトンアーツ・チケットデスク03-3532-5702 
https://www.triton-arts.net

他公演 
2026.5/13(水) 兵庫県立芸術文化センター(小)(0798-68-0255)


林 昌英 Masahide Hayashi

出版社勤務を経て、音楽誌制作と執筆に携わり、現在はフリーライターとして活動。「ぶらあぼ」等の音楽誌、Webメディア、コンサートプログラム等に記事を寄稿。オーケストラと室内楽(主に弦楽四重奏)を中心に執筆・取材を重ねる。40代で桐朋学園大学カレッジ・ディプロマ・コース音楽学専攻に学び、2020年修了、研究テーマはショスタコーヴィチの弦楽四重奏曲。アマチュア弦楽器奏者として、ショスタコーヴィチの交響曲と弦楽四重奏曲の両全曲演奏を達成。