イム・ユンチャン ピアノ・リサイタル 2026
シューベルトとスクリャービンが映す“今”

©Shin-joong Kim

 圧倒的な技巧と深い詩情を併せ持ち、聴く者の心を瞬時に掴むピアニスト、イム・ユンチャンが、シューベルトとスクリャービンによる意欲的なプログラムを携えて来日する。2022年のヴァン・クライバーン国際ピアノコンクールを史上最年少の18歳で制し、世界中を驚嘆させた韓国出身のピアニストは、近年のリサイタルでバッハの「ゴルトベルク変奏曲」を柱に据え、高い集中力と構築力で新たな境地を見せてきた。本公演では当初予定のプログラムを自らの意志で差し替えた。「静かで長い迷いの時間を経て、ようやく自分の内奥に本当に息づいている音楽として、今、皆様にもっとも聞いていただきたい」——その言葉とともに届けられるのが、対照的な二人の作曲家に焦点を当てた今回のプログラムである。

 前半のシューベルトのソナタ第17番「ガスタイナー」は、オーストリア・アルプスの大自然を思わせる、推進力と生命力に満ちた大曲である。ユンチャンの深い打鍵と大局的な構成力は、このエネルギッシュな傑作の真価を余すところなく示してくれるはずだ。後半は、スクリャービンのソナタ第2番から第4番への連続演奏だ。ショパンの面影を残す甘美なロマンティシズム(第2番)から、重厚な魂の闘争(第3番)を経て、独自の神秘主義が花開く宇宙的な音楽(第4番)へ。この魂の飛翔が、ユンチャンの音色コントロールと研ぎ澄まされた感性によって精緻に描かれていくことだろう。

文:飯田有抄

(ぶらあぼ2026年4月号より)

イム・ユンチャン ピアノ・リサイタル 2026
2026.4/7(火)19:00 ミューザ川崎シンフォニーホール
4/9(木)19:00 サントリーホール
問:ジャパン・アーツぴあ0570-00-1212 
https://www.japanarts.co.jp

他公演
2026.4/5(日) 愛知県芸術劇場 コンサートホール(CBCテレビ事業部052-241-8118)
4/8(水) 東京芸術劇場 コンサートホール(0570-010-296)
4/11(土) 大阪/ザ・シンフォニーホール(06-6453-2333)
4/12(日) 福岡シンフォニーホール(KBCチケットセンター092-720-8717)


飯田有抄 Arisa Iida(クラシック音楽ファシリテーター)

音楽専門誌、書籍、楽譜、CD、コンサートプログラム、ウェブマガジン等に執筆、市民講座講師、音楽イベントの司会等に従事する。著書に「ブルクミュラー25の不思議〜なぜこんなにも愛されるのか」「クラシック音楽への招待 子どものための50のとびら」(音楽之友社)等がある。公益財団法人福田靖子賞基金理事。東京藝術大学音楽学部楽理科卒業、同大学院修士課程修了。Macquarie University(シドニー)通訳翻訳修士課程修了。