6月、上岡敏之&大阪交響楽団によるシューマン交響曲全曲演奏会(全3回)が大阪・箕面市立メイプルホールで開幕

上岡敏之 (c)読売日本交響楽団 撮影=藤本崇

文:奥田佳道

 箕面ってどこにあるの? 箕面では何をやっているの? そもそも箕面、何て読むの?
 関西、大阪、阪急沿線の方からお叱りを受けそうだが、ほんの数年前まで箕面(みのお)とパフォーミングアーツを結びつける音楽好きは、そうはいなかった。箕面で良質のクラシックを楽しむことは出来たかもしれないが、重ねてお叱り覚悟で言えば、散発的だったのではないか。

 今は違う。新進気鋭の坂入健司郎が指揮する大阪交響楽団との「ブラームス交響曲全曲演奏会」(全4回)を創り、ステージと客席を有機的に結びつけた箕面。内外のトップアーティストがクオリティの高い演奏を披露するだけでなく、そのステージへの期待感や事後の感想をも地域コミュニティと分かち合う箕面。具体的には、演奏と多彩なレクチャー企画を美しく関連づけ、相乗効果を挙げている箕面。昨年はカーチュン・ウォンと大阪フィルの再会を演出した箕面。いろいろな誉め言葉が浮かぶ。

2024年のブラームス交響曲全曲演奏会Vol.4より(c)樋川智昭

 首都圏のオーケストラと関西のホールで企画・制作を経験し、音楽と聴き手に手を差し伸べる和田大資(わだ・たいすけ)氏が着任後、彼と一緒に仕事をしたい演奏家、関係者が嬉々としてこの地に集うようになった。箕面に名プロデューサーあり、なのだ。

 公益財団法人箕面市メイプル文化財団/箕面市立メイプルホールが掲げるキャッチ「身近なホールのクラシック」は、ただのキャッチではない。よくある“クラシックを親しみやすく”するための標語でもない。財団とホールからのメッセージ、少し硬い言葉で言えば美学であり、箕面の多彩な音楽事業の総称だ。ホールと地域、ステージと客席の「環」を表わす言葉といってもいい。

 伸びゆく指揮者・坂入と大阪響、ヴァイオリンの石上真由子を交えたブラームス、それにアンコール企画を成功させた箕面は2026年度、ブラームスを見出した19世紀ドイツ・ロマン派の化身シューマンの交響曲全曲演奏会(全3回)をスタートさせる。
 シューマンの移ろいゆく心情を映し出す重層的な調べ。文学や言葉とも絡み合う、かぐわしく繊細な楽節。音の詩人シューマンはむずかしい。表面的な勢いや派手なサウンドで聴き手をねじ伏せることは出来ない。

 そんなシューマンの魔境的ともいえる交響曲芸術には、研ぎ澄まされた技と感性をあわせもち、かつ愛すべきカペルマイスター(楽長)気質をまとった練達の指揮者が必要だ。
 箕面はドイツのオペラハウスとオーケストラと歩んだ練達のマエストロで、ピアニストでもある音楽家・上岡敏之に声をかけた。いや、箕面でのシューマンには、上岡敏之の孤高の職人技と音楽へのあふれんばかりの憧憬(しょうけい)心が必要だ。

 全曲演奏会の初回、上岡と大阪響が選んだのは交響曲第1番「春」と交響曲第4番。6月18日木曜19時、開演に遅れなきよう。「春」冒頭の金管によるファンファーレは、シューマンと近い世代の詩人アドルフ・ベトガーの詩と呼応、愛すべき「韻」も織り込まれているのだが、あの趣ある調べ、響きを500席の箕面市立メイプルホール「大ホール」で味わうことが出来るのだ。それも上岡敏之と初顔あわせの大阪交響楽団の、きっとヨーロピアンな演奏で。

 箕面の「身近なホールのクラシック」は今回、筆者・奥田佳道による講座「シューマン三昧!」全2回を企画、コンサート当日も奥田によるプレ(コンサート)トークが行われる。内に外に烈しいシューマンの音楽、そして上岡敏之と大阪交響楽団、聴衆の「響宴」に想いを寄せた話を心がけたいと思っている。

「身近なホールのクラシック」
シューマン交響曲 全曲演奏会Vol.1
2026.6/18(木)19:00 箕面市立メイプルホール


出演
上岡敏之(指揮)
大阪交響楽団

プログラム
シューマン:
 交響曲第1番「春」
 交響曲第4番

問:箕面市メイプル文化財団072-721-2123
https://minoh-bunka.com