
櫻田 亮 ©Ribaltaluce/氷見健一郎 ©井村重人
ベートーヴェンの代表的な大規模な合唱曲「ミサ・ソレムニス」と「第九」。この2曲を2日連続で演奏しようという神戸市室内管弦楽団・神戸市混声合唱団の合同公演「ベートーヴェン・ダブルビル」が、11月に開催される。これは両団体が本拠を置く神戸文化ホールの50周年記念事業として行われるもので、指揮を神戸市室内管の音楽監督、鈴木秀美が務める。
「2つの作品は同時期に作曲されていますが、日本では『ミサ』の方はあまり知られていません。そこで土曜日に『ミサ』を聴いて、それをまだ忘れていない耳で日曜日に『第九』を聴いていただこうという企画です。私自身も経験したことですが『ミサ』をしっかりと聴くと『第九』はその簡略版ではないか、と思えるくらいに聴こえ方が変わります。この機会に両方を知っていただければと考えています」
今年2月に行われたシーズンプログラムの発表記者会見で、鈴木はそのように語っている。
ソリストには両日とも中江早希(ソプラノ)、布施奈緒子(アルト)、櫻田亮(テノール)、氷見健一郎(バス)といった鈴木の信頼厚い歌手たちが揃う。
「彼らは歌い易いとは言えないベートーヴェンの声楽パートを、その意図まで正しく理解して歌ってくれる人たちです。この2曲を2日で演奏するのはオーケストラにとっても歌手にとっても非常にハードですが、両方のプロが集まっている神戸だからこそできることだと思います」
世界でも珍しいこのダブルビル(2本立て)。「第九」のシーズンを前に新鮮な気づきに溢れた2日間になりそうだ。
文:逢坂聖也
(ぶらあぼ2025年11月号より)
神戸市室内管弦楽団&神戸市混声合唱団 合同定期演奏会「ミサ・ソレムニス」
2025.11/15(土)15:00
神戸市室内管弦楽団 第170回 定期演奏会「第九」
2025.11/16(日)15:00
神戸文化ホール
問:神戸文化ホールプレイガイド078-351-3349
https://www.kobe-bunka.jp/hall/

逢坂聖也 Seiya Osaka
大阪芸術大学卒業後、大手情報誌に勤務。映画を皮切りに音楽、演劇などの記事の執筆、配信を行う。
2010年頃からクラシック音楽を中心とした執筆活動を開始。現在はフリーランスとして「ぶらあぼ」「ぴあ」「音楽の友」などのメディアに執筆するほか、ホールや各種演奏団体の会報誌に寄稿している。
大阪府豊中市在住。

