共に国際コンクールの優勝歴が光る韓国の俊英2人によるバッハのヴァイオリン・ソナタ集。中学の同級生だった2人は、留学先のドイツ・ケルンで再会し、本曲集の研究を10年間続けた後、録音に至ったという。それだけにどの曲も吟味された表現がなされ、遅い楽章ではじっくりしみじみと、速い楽章では闊達で生き生きとした好演が展開されている。モダン楽器による演奏だが、むろんロマンティックな表現ではなく、オーセンティックな様式を踏まえながら、楽器の音色や表現力を生かした、典雅にして気品漂う音楽が続いていく。中でも短調の3曲が印象的。
文:柴田克彦
(ぶらあぼ2025年7月号より)
【information】
CD『時を越える対話〜J.S.バッハ:ヴァイオリンと鍵盤楽器のためのソナタ集/ハ・ユナ&ファン・ゴニョン』
J.S.バッハ:ソナタ第1番〜第6番
ハ・ユナ(ヴァイオリン)
ファン・ゴニョン(ピアノ)
AUDIOGUY/東京エムプラス
AGCD 0188(2枚組) ¥4150(税込)


