モーツァルト愛あふれるメンバーによる極めて珍しい未完三部作上演!

宮本益光

 日本を代表する“モーツァルト歌い”たちとコレペティートル(ピアニスト)が集まって2018年に結成されたモーツァルト・シンガーズ・ジャパン(MSJ)。これまで、モーツァルトのオペラ全作品の録音に取り組むのと並行して、セミステージ形式でのホール公演も続けてきた。特に王子ホールの「ピアノ伴奏で楽しむモーツァルトオペラ・プロジェクト」では《コジ・ファン・トゥッテ》《フィガロの結婚》《ドン・ジョヴァンニ》《魔笛》《バスティアンとバスティエンヌ》の5作を上演している。第6弾となる2月23日の公演は「未完三部作」と題し、《ツァイーデ》《騙された花婿》《カイロの鵞鳥》を取り上げる。

 三作は《ツァイーデ》が1780年、《騙された花婿》《カイロの鵞鳥》が1783年に手がけられており、モーツァルトがダ・ポンテとの共同作業を開始する《フィガロの結婚》の3〜6年ほど前の時期ということになる。未完のために特に日本ではほとんど顧みられることのなかったこの三作をまとめて演奏する、というのは、宮本益光をはじめとするメンバー全員がモーツァルトへの情熱と深い理解を持つMSJならではといえるだろう。ちなみに《ツァイーデ》のCDは昨年5月にリリース済み。そして公演に合わせて2月19日には、《騙された花婿》《カイロの鵞鳥》のキハラ良尚によるピアノリダクション特別版のリリースも予定されている。これはぜひCDを買って予習をした上で公演に臨みたいところだ。今回も売り切れ必至のMSJ公演。絶対に見逃せない。
文:室田尚子
(ぶらあぼ2025年2月号より)

モーツァルト・シンガーズ・ジャパン Vol.6
《ツァイーデ/騙された花婿/カイロの鵞鳥》「未完三部作」(字幕付き)
2025.2/23(日・祝)14:00 王子ホール
問:王子ホールチケットセンター03-3567-9990
https://www.ojihall.jp