ピアニスト・友田恭子は、透明感のある音色と軽やかなタッチ、歌心にあふれた演奏でモーツァルトの独奏ソナタ全曲の録音を終えた。彼女が次に取り組んだのは連弾および2台ピアノのためのソナタである。実姉である笠原純子と共に奏でることで、友田の音色はさらに輝きと色彩の豊かさを増しているように思える。モーツァルトの連弾曲はシンプルであるがゆえに、少しでもほころびが見えると台無しになってしまう。しかし二人は息の合ったアンサンブルと溶け合う音色によって見事に弾きこなし、演奏を通して様々な物語や情景を見せてくれている。
文:長井進之介
(ぶらあぼ2024年9月号より)
【information】
CD『モーツァルト:ピアノ・ソナタ集 Vol.7 四手作品/友田恭子&笠原純子』
モーツァルト:ピアノ・ソナタ K.19d,K.381(123a),K.521、アンダンテと変奏曲(以上連弾)、ピアノ・ソナタ K.545(グリーグ編、2台ピアノ)
友田恭子 笠原純子(以上ピアノ)
コジマ録音
ALCD-9268 ¥2970(税込)