日本語の創作オペラや社会性をもった活動に尽力した作曲家・林光氏が、1月5日に都内の病院で死去した。林氏は昨年の9月下旬に自宅で倒れた際に頭部を打撲し、病院に運ばれたが意識不明が続いていた。享年80。林氏は1931年東京生まれ。東京芸術大学作曲科に入学したが中退し、53年に作曲家の間宮芳生、外山雄三と「山羊の会」を結成して日本の国民音楽の発展を目指し本格的な作曲活動を開始した。多くの管弦楽作品を発表し、「オーケストラのための変奏曲」は第4回尾高賞を受賞している。歌曲や合唱曲の分野でも知られるほか、日本語による創作オペラに取り組み、自ら音楽監督を務めた「オペラシアターこんにゃく座」のために《セロ弾きのゴーシュ》《森は生きている》《変身》など多くのオペラを作曲し高い評価を得た。林氏は音楽と社会や政治との関わりにも目を向け、天安門事件後に「第3交響曲〈八月の正午に太陽は…〉」や合唱曲「原爆小景」などを発表している。また、新藤兼人監督作品における映画音楽の創作もよく知られている。