BALLET NEXT 『ロミオとジュリエット』

人間の心理に深く迫ったドラマ

 2005年に発足したBALLET NEXTは、公演ごとのオーディションで選出されたダンサーたちによる登録制カンパニーである。名古屋を拠点に活動を続け、『ジゼル』や『ドン・キホーテ』など古典作品以外にも、意欲的なオリジナル作品を多数上演。特に、三島由紀夫原作の『春の雪』や映画エレファント・マンを題材にした『イノセント・グレー』は、幕物の物語バレエとして高い評価を得ている。次回の公演は『ロミオとジュリエット」。同団の芸術監督を務める市川透の演出・振付による新作である。
 キーロフ・バレエ団(現マリインスキー・バレエ団)に日本人として初めて入団を果たした市川は、音楽を活かしたスピーディな展開を特徴とする創作で知られている。今回はまさに彼にうってつけの作品といえるのではないだろうか。市川版はバルコニーシーンなどバレエの醍醐味を味わえる場面は残しつつも、従来のロミオとジュリエットとは異なる時代背景や登場人物を設定。2人を取り巻く人たちの価値感や心の変化、葛藤をより深く掘り下げ、現代に即した内容に再構成した。ロミオを演じるのは元Kバレエカンパニーの清水健太。英国ロイヤル・バレエ・スクールに留学経験もあり、物語バレエのドラマティックな役どころは十八番。奥行きのある人物像を創り上げてくれるに違いない。ジュリエットは同団のファーストメンバーとして活躍中の青木里英子。濃い人間ドラマに酔いしれてみては?
文:石村紀子
(ぶらあぼ + Danza inside 2015年1月号から)

2015.2/15(日)17:00 日本特殊陶業市民会館フォレストホール 
問:BALLET NEXT事務局052-779-0756 
http://www.studio-move.net/bn