東京オペラシティ文化財団は、同財団が主催するオーケストラ作品作曲コンクール「武満徹作曲賞」の2013〜15年度審査員を発表した。同賞は毎年1人の作曲家が審査員を務め、それぞれ独自の判断でその年の受賞作品を選出するユニークな作曲賞。
2013年度:ハリソン・バートウィスル(1934生/イギリス)
2014年度:ペーテル・エトヴェシュ(1944生/ハンガリー)
2015年度:カイヤ・サーリアホ(1952生/フィンランド)
ハリソン・バートウィスルは現代イギリス音楽の旗手の1人として国際的な評価を得ている作曲家。特にオペラや、声楽・器楽に演劇の要素を融合したシアトリカルな作品を得意とし、管楽器の積極的な活用も彼の作風の特徴のひとつ。代表作にはオペラ《オルフェウスの仮面》、同《ガウェイン》、ピアノ協奏曲「アンティフォニー」、オーケストラのための「アース・ダンス」など。これまでにロンドン・ナショナル・シアターの音楽監督、ロイヤル・アカデミー・オブ・ミュージックの作曲科ディレクターなどを務め、1988年には“ナイト”の称号を与えられている。
ペーテル・エトヴェシュは、伝統的な西洋音楽から現代・電子音楽そして民俗音楽までにわたる広範な要素を、洗練された手法で自在に融合する作風を特徴としている。また、指揮者としても活躍しており、これまでにウィーン・フィル、ベルリン・フィル、ロイヤル・コンセルトヘボウ管、BBC響、クリーヴランド管、ロサンゼルス・フィルなどの欧米の主要オーケストラの他、N響や新日本フィルといった日本のオーケストラにも客演している。また、ミラノ・スカラ座、英国ロイヤル・オペラ、パリ・シャトレ座などでも数々のオペラを指揮している。
カイヤ・サーリアホは現代フィンランドを代表する作曲家の1人。シベリウス・アカデミーで作曲を学び、在学中にマグヌス・リンドベルイやエサ=ペッカ・サロネンらと共にモダニズムを推進する作曲家グループ「コルヴァト・アウキ!(耳を開け!)」を結成した。カラフルな音色や濃密な音群の繊細な変容を強調した作品により世界的な評価を確立。自身初のオペラ《彼方からの愛》(2000年ザルツブルク音楽祭の初演)で数々の賞を獲得するなど、最近ではオペラ作品も精力的に発表している。
写真:上から:ハリソン・バートウィスル/C)Hanya Chlala/Arena PAL、ペーテル・エトヴェシュ/C)Wilfried Hoesl、カイヤ・サーリアホ/C)Priska Ketterer