群馬交響楽団 飯森範親 次期常任指揮者が就任会見

2023-24シーズン定期演奏会ラインナップ発表

左:藪原博(専務理事) 右:飯森範親(次期常任指揮者)

 群馬交響楽団が、2023年4月から常任指揮者に就任予定の飯森範親の会見を、10月21日に本拠地の高崎芸術劇場で行い、併せて2023-24シーズンのラインナップが発表された。会見には、飯森のほか、コンサートマスターの伊藤文乃、藪原博 専務理事、上野喜浩 音楽主幹が登壇した。
 
 山響や広響など、地域に根ざしたオーケストラでのポスト経験が抱負な飯森。約半年後の就任を前に以下のように語った。

「オーケストラは、どのように向かっていけば求められる存在になり、県民・市民から愛されるのか? オーケストラ自体に魅力がないと当然注目されません。群響はすでに非常に優れたオーケストラですが、これからさらにブラッシュアップしていくにあたり何が必要か考えた時に、楽員の皆さんの意見を聞いたほうが良いと思い、昨年十数名の方にお集まりいただいて、率直な意見交換をしました」

 そうしたディスカッションの結果は、来シーズンのプログラムの中にも反映されているという。特に、モーツァルトの作品をすべての定期に入れたことはマエストロが最もこだわったポイント。「古典を演奏することによって、オーケストラの音色が格段に良くなる。透明感が出ると音程感覚にシビアになり、それはロマン派や近現代の作品をやってもすべて生かされる」とその意図を語る。山響でのモーツァルト交響曲全集録音や日本センチュリー響でのハイドンマラソン・プロジェクトなどの経験から培われたマエストロの一貫したスタンスは、群響においても継続されることになる。

 飯森自身、母方のルーツが群馬県であることから、幼少期から桐生や前橋に足を運んでいたそうで、「カブトムシやクワガタをたくさん採った」思い出の地であるという。そうしたゆかりのある群馬県で「皆さんと音楽を共にできる、こんな幸せなことはない」と新ポストへの期待は大きい様子。本拠地の高崎芸術劇場は、2019年に開館したばかり。優れた音響と最新の設備で地元音楽ファンの支持を得ているが、新幹線も停車する高崎駅からのアクセスも良いだけに、「東京や埼玉、千葉など、他のエリアからも高崎に足を運んでもらえるようなオーケストラを目指したい」と意気込みを語った。

 広響時代にも飯森のもとで演奏した経験をもつコンサートマスター伊藤文乃は、昨年、飯森が群響定期に客演した際の印象に触れ、「マーラーの5番だったのですが、団員のあいだでも『飯森さん、いいねぇ!』という声が挙がっていたので、今回このような形になって本当に楽しみにしています。これまで、群響ではモーツァルトの作品は頻繁には演奏してこなかったのですが、古典をやることで、オーケストラのレベルアップに繋がるのではないかと思っています」と期待を寄せた。

 群響は、昨年度から5年間にわたる改革プランをスタートさせている。目標は「日本一の地方オーケストラを目指す」というもの。次年度の事業もそれが反映された内容となっており、「1:多彩なプログラム」「2:全公演でモーツァルト」「3:楽員ソリストを起用」「4:若手ソリストの起用」という4つのテーマを掲げた。

 新シーズンは、10演目13公演。飯森の就任披露演奏会となる第587回定期は、2023年4月22日。R.シュトラウス「英雄の生涯」他でシーズンが開幕。飯森は3演目4公演でタクトを執る。そのほか、名誉指揮者・高関健によるメシアン「トゥーランガリラ交響曲」、桂冠指揮者・小林研一郎のブラームス「交響曲第4番」のほか、名クラリネット奏者であるポール・メイエがムソルグスキー=ラヴェル「展覧会の絵」を振るのも注目。

 ソリストには、上野通明(チェロ)、金川真弓(ヴァイオリン)、小林海都(ピアノ)、ジャン・チャクムル(同)など、国内外のコンクールで上位入賞を果たした話題の若手が多く揃った。また、コンサートマスターの伊藤をはじめ楽員ソリストも起用し、オーケストラ全体のレベルアップを図るシーズンとなる。

写真提供:群馬交響楽団

◎前期シーズン〈第587回~第590回〉

第587回定期演奏会 常任指揮者就任披露演奏会
2023.4/22(土)

指揮/飯森範親(次期群響常任指揮者)
ヴァイオリン/三浦文彰
モーツァルト:交響曲 第1番 変ホ長調 K.16
ショスタコーヴィチ:ヴァイオリン協奏曲第1番 イ短調 作品77
R.シュトラウス:交響詩《英雄の生涯》作品40, TrV 190
(ヴァイオリン・ソロ:伊藤文乃、群響コンサートマスター)

第588回定期演奏会
2023.5/27(土)

指揮/高関健(群響名誉指揮者)
オンドマルトノ/原田節
ピアノ/児玉桃
モーツァルト:交響曲第32番 ト長調 K.318
メシアン:トゥーランガリラ交響曲

第589回定期演奏会
2023.6/24(土)

指揮/秋山和慶
チェロ/上野通明
モーツァルト:交響曲第31番 ニ長調 K.297「パリ」
ラロ:チェロ協奏曲 ニ短調
ベルリオーズ:幻想交響曲 作品14

第590回定期演奏会
2023.7/22(土)

第53回東毛定期演奏会 (会場:太田市民会館)
2023.7/23(日)

指揮/角田鋼亮
ソプラノ/中江早希
コダーイ:ガランタ舞曲
モーツァルト:エクスルターテ・ユビラーテ(踊れ、喜べ、幸いなる魂よ)
マーラー:交響曲第4番 ト長調

◎中期シーズン〈第591回~第593回〉

第591回定期演奏会
2023.9/17(日)

指揮/飯森範親(次期群響常任指揮者)
ソプラノ/森谷真理 メゾソプラノ/富岡明子
テノール/村上公太 バリトン/平野 和
群馬交響楽団合唱団(合唱指揮/阿部 純)
モーツァルト:レクイエム ニ短調 K.626 から “ラクリモザ”
ヴェルディ:レクイエム

第592回定期演奏会
2023.10/28(土)

東京公演 (会場:すみだトリフォニーホール)
2023.10/29(日)

指揮/井上道義
ピアノ/仲道郁代
モーツァルト:ピアノ協奏曲第23番 イ長調 K.488
ショスタコーヴィチ:交響曲第4番 ハ短調 作品 43

第593回定期演奏会
2023.11/25(土)

指揮・クラリネット/ポール・メイエ
クラリネット/西川智也(群響首席奏者)
モーツァルト:交響曲第38番 ニ長調 K.504 「プラハ」
メンデルスゾーン:コンチェルト・シュトゥック 第1番 、第2番
ミカエル・ジャレル:ドビュッシーによる3つのエチュード
ムソルグスキー=ラヴェル:組曲「展覧会の絵」

◎後期シーズン〈第594回~第596回〉

第594回定期演奏会
2024.1/27(土)

指揮/小林研一郎(群響桂冠指揮者)
ヴァイオリン/金川真弓
モーツァルト:ディヴェルティメント ニ長調 K. 136
シベリウス:ヴァイオリン協奏曲 ニ短調 作品47
ブラームス:交響曲第4番 ホ短調 作品98

第595回定期演奏会
2024.2/24(土)

指揮/大井剛史
ピアノ/金子三勇士 , 小林海都
打楽器/三橋敦(群響首席奏者), 山本貢大(群響奏者)
モーツァルト:セレナード 第13番 ト長調 K.525「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」
バルトーク:2台のピアノと打楽器のための協奏曲
ドヴォルジャーク:交響曲第3番 変ホ長調 作品10

第596回定期演奏会
2024.3/23(土)

東京特別公演 (会場:サントリーホール)
2024.3/24(日)

指揮/飯森範親(次期群響常任指揮者)
ピアノ/ジャン・チャクムル
モーツァルト:ピアノ協奏曲(調整中)
ブルックナー:交響曲第9番
(2022.10/21現在)

群馬交響楽団
http://www.gunkyo.com