“使命感”に満ちたマルティヌー・プログラム
東京都交響楽団のプリンシパル・ゲスト・コンダクター、ヤクブ・フルシャが、この9月、マルティヌーの2作品を並べた意欲的なプログラムを披露する。交響曲第4番とカンタータ「花束」。マルティヌーのみのプログラムを聴ける機会は貴重だ。
これまでにもたびたび屈指の名演を聴かせてきたフルシャと都響のコンビだが、この気鋭の指揮者にとって、欠かせない重要なレパートリーとなっているのが、母国チェコの音楽。日本では十分に親しまれているとはいいがたいスークやマルティヌー作品を果敢に取りあげてきた。今回のマルティヌー・プログラムにもフルシャの使命感が透けて見えるかのようだ。
もっとも、マルティヌーになじみの薄い方であっても、未知の作品に対して過剰に構える必要はないだろう。カンタータ「花束」(日本語字幕付き)には、初めて聴く者にもどこか懐かしさを感じさせるような手触りがある。作品には濃厚な民族色が充満しており、マルティヌー作品のなかでもとりわけ土臭さを感じさせる。フルシャの共感と、都響の機能性、さらに定評ある新国立劇場合唱団と独唱者陣の歌唱によって、精彩に富んだ演奏が繰り広げられることだろう。もう一曲の交響曲第4番では、よりモダンな響きで表現された、豊かな抒情性と祝祭的な躍動感を堪能できる。
マルティヌーの魅力を改めて知る一夜となりそうだ。
文:飯尾洋一
(ぶらあぼ + Danza inside 2014年8月号から)
第774回 定期演奏会 Bシリーズ 9/8(月)19:00 サントリーホール
問:都響ガイド03-3822-0727
http://www.tmso.or.jp