東京混声合唱団 × 新国立劇場合唱団 dream Concert

日本を代表する合唱団の“夢の共演”が実現

 日本最高峰の2つのプロ合唱団がジョイントする歴史的コンサート。普段あまり合唱を聴かないという人にもぜひ聴いてほしい。

 新国立劇場合唱団が、いわゆる合唱曲ばかりを、それも邦人作品を含むプログラムを歌うのはかなり珍しい。そして1956年創設の東京混声合唱団は、200曲を超える委嘱作品を生むなど、日本の合唱音楽の領域を孤軍奮闘で開拓しつづけてきた老舗だ。

 持ち味は自ずと異なる。たとえば、オペラを主戦場とする新国合唱団の圧巻の劇的表現力。純正律も駆使してア・カペラの精緻なハーモニーを作り上げる東混。互いに触発されて新たな化学反応も生まれるのではないか。

 各25人ずつ50人の合同合唱団がバッハ、モーツァルト、ブラームスと《ニュルンベルクのマイスタージンガー》の3場面の合唱曲、そして信長貴富、池辺晋一郎、三善晃の作品を歌う。うち102曲ずつの単独演奏曲や二重合唱の作品もあるので、それぞれの個性の違いも際立つだろう。指揮は、外国曲が新国合唱団の首席指揮者・三澤洋史、邦人作品が東混常任指揮者キハラ良尚。ピアノに鈴木慎崇と津田裕也と、ソロや器楽アンサンブルのフィールドで活躍する巧者2人の起用も妙手。

 「クラシック」と「合唱」の垣根を取り払い、プロもアマチュアも器楽ファンも声楽ファンも、音楽界全体を巻き込んで、日本の合唱の最前線の水準を鮮やかに示すコンサートになるはず。本物の合唱にとことん酔いしれたい。
文:宮本明
(ぶらあぼ2022年6月号より)

2022.7/31(日)15:00 東京オペラシティ コンサートホール
問:東京混声合唱団03-3200-9755 
https://toukon1956.com