「ウェン=シン・ヤンは非凡なソリストである。彼のテクニックは最高級で、美しい豊かな音と完璧な音調を奏でる。神経細やかに表現をし、音楽の哲学的な広がりを完全に把握している。」(ロリン・マゼール)
1965年、台湾系両親の元スイス・ベルンで生まれる。チェロをクロード・スターク、ウルフガング・ベッチャー、ヤーノシュ・シュタルケル、ダーヴィド・ゲリンガスに師事。24歳にして、バイエルン放送交響楽団の首席チェロ奏者となり2004年まで在籍。
1991年、難関と言われるジュネーブ国際音楽コンクールで優勝。それ以来、世界各地でソリストとしても活躍、これまでに、ロリン・マゼール、サー・コリン・デイビス、ウルフガング・サヴァリッシュ、セミヨン・ビシコフ、ユーリ・テミルカーノフ、マリス・ヤンソンス等の世界的な指揮者と共演。また、サン・モーリッツ、ダヴォス、ビエル、ドレスデン等のフェスティバルにもしばしば招待されている。
1997年には台北においてフアン=ロン・パン作曲のチェロ協奏曲、ミュンヘンにおいてケビン・ヴォランス作曲のチェロ協奏曲を世界初演した。
ヤンは指導者としても高い評判を得ており、2004年10月からはミュンヘン音楽大学の教授を務めている。また、ドイツ、イタリア、スイス等でチェロのマスタークラスを数多く受け持っている。
ヤンの広大なレパートリーは多くが30枚以上ものCDに収録されている。ボッケリーニ、ハイドン、ベートーヴェン、シューベルト、チャイコフスキー、ドボルザークなどの通常のレパートリーはもとよりデュティユー、グバイドーリナなどの現代作品にまで及んでいる。さらに、ヤンはバイエルン放送TVとのコラボレーションで、アートハウス・ミュージック・レーベルからJ.S.バッハの無伴奏チェロ組曲のCD/DVDを製作している。
日本へは2005年、大阪と東京において佐渡裕指揮/スーパー・ワールド・オーケストラのソリストに招かれて以来しばしば来日、これまでにN響、東響、新日本フィル、日本センチュリー響、九響と共演している。
2016/17年シーズンには、台湾フィル、台北国立響からレジデントアーティストとして招かれている。