新ホールで聴くバッハの真髄
2014年3月、東京・大手町にエンタテインメントの創造と、文化・情報の発信拠点が新たに誕生する。「よみうり大手町ホール」は、読売新聞東京本社新社屋内にオープンする約500席の空間。優れた音響や充実した映像設備、さらに能舞台の設定も可能で、ここから生まれる新たな文化の潮流が期待されている。そのオープニングシリーズに、古楽界の先駆者シギスヴァルト・クイケン率いる名アンサンブル「ラ・プティット・バンド」が登場。J.S.バッハ珠玉の管弦楽作品を響かせ、ホールの幕開けを告げる。
ラ・プティット・バンドは、ベルギーを拠点に活躍、世界的に知られている古楽アンサンブル。一度は失われたバロックヴァイオリン奏法を復活させたクイケンらにより、1972年に設立された。以後、高まりを見せる古楽ムーヴメントの中心的存在であり続ける一方、“幻の楽器”となっていた肩掛けチェロ「ヴィオロンチェロ・ダ・スパッラ」の復活演奏にいち早く取り組むなど、結成から40年余りを経てなお、先鋭さに陰りを見せない。
今回のステージでは、バッハがライプツィヒで主宰したアンサンブル「コレギウム・ムジクム」が1725〜31年頃に演奏したとされる、管弦楽組曲全4曲を披露。今年9月にACCENTレーベルから発表した最新盤では、1パートを1人の奏者で演奏、新鮮な響きで好評を得ただけに、名演が期待できそう。さらに、やはり不朽の名作「ブランデンブルク協奏曲」から第5番も併せて演奏されるとあっては、古楽ファンならずとも目が離せないステージとなるだろう。
文:寺西 肇
(ぶらあぼ2013年12月号から)
★5月28日(水)、29日(木)・よみうり大手町ホール Lコード:36407
問:よみうり大手町ホール03-6739-5838
http://yomi.otemachi-hall.com